土用の丑の日といえば、うなぎを食べる日本ならではのイベントです。お高い食べ物ですが、1年に1度の楽しみで、奮発して召し上がる方も多いのではないでしょうか。しかし、2024年の夏には、大規模なうなぎの食中毒事件が発生してしまいました。今回はそのことについて、事件の詳細や原因、それに伴う店舗の閉店について調べてみましたので、事件自体や事件とお店のその後をよくご存じない方は読んでみて下さい。
日本橋鰻伊勢定とは
今回事件のあったお店(会社)である日本橋鰻伊勢定について少し紹介したいと思います。
日本橋鰻伊勢定は、昭和21年、終戦直後の日本橋の焼け野原に開店し、現在は三代目の方が継いでいらっしゃるようです。店名である「伊勢定」は、初代の方の出身地が、群馬県伊勢崎市であり、ご自身の名前の定をつけて、伊勢定と命名されました。また、伊勢神宮の伊勢にかけ、縁起も担いでいるとのことです。
(画像は公式HPより)
昭和21年創業なので、実に78年という歴史を持つ老舗であり、国内でも複数の店舗を経営しています。多くの方に愛されてきたからこその年数、店舗数だと思いますし、それだけのノウハウを持っているお店が、なぜ今回のような事件を起こしてしまったのでしょうか。
事件の詳細
事件が起こったのは2024年7月24日~25日。京急百貨店(横浜市港南区)内に出店していた店舗で、うなぎ弁当や蒲焼きを販売していました。しかし、それを購入し食べた方のうち、161人にものぼる方が体調不良を訴え、うち159人は食中毒の認定がされ、さらにそのうちのお一人は、(因果関係は不明とのことですが)お亡くなりになられるという事態にまでなってしまいました。
(画像はYahooニュースより)
この事態を受けて、横浜市保健所は検査や調査の上、同店舗を7月29日から営業禁止処分にしました。
京急百貨店および日本橋鰻伊勢定は記者会見を開いています。その映像を載せておきます。
(なお、この映像は7月時点ため、体調不良者の人数等が本記事と異なっています)
食中毒の原因
保健所の行った検査や調査により、集団食中毒の原因が判明。それは「黄色ブドウ球菌」でした。
「黄色ブドウ球菌」は、手指、鼻、のど、皮膚などどこにでも存在しており、健康なときには害を受けることはほとんどありませんが、免疫力が低下しているときや、傷口があると感染症を引き起こしやすくなります。また、化のうした傷口などに多くいる細菌で、保健所は手や指に傷がある人は食品に直接触れないよう呼びかけています。
公表された調査結果によると、調理担当スタッフの手洗いが不十分で、手袋を着けていなかったことから食品が汚染された可能性があると明らかになりました。また、手や指に傷があるかなどの記録が十分でなかったほか、調理台から黄色ブドウ球菌が検出され、施設内が汚染されていた可能性があるとしています。
お店のマニュアルでは、弁当の製造でうなぎを焼くスタッフ以外は手袋をつけることになっていましたが、当日は盛りつけ担当のスタッフが手袋をつけずに作業していたということも明らかになったようです・・・。
きっと、土用の丑の日ということで、多忙を極めていたのだと思いますが、命に関わることなので、衛生面はしっかりと徹底するべきでした。
参考記事:百貨店で販売のうなぎ弁当などで130人食中毒の症状 1人死亡 | NHK | 神奈川県
うなぎ弁当で集団食中毒 手洗い不十分 調理台汚染の調査結果 | NHK | 医療・健康
店舗が閉店
大変な事件を起こしてしまった日本橋鰻伊勢定。同店は全国に6店舗を構えていましたが、10月末に、これまで述べてきた集団中毒事件が起きた京急百貨店(横浜市港南区)内の店舗の閉店が発表されました。残りの5店舗は営業を継続するようです。
閉店のお知らせについては、公式HP(下記のリンク)からご確認いただけます。
ちなみに、今回閉店した店舗は、7月29日に営業禁止処分を受け、9月11日はその処分が解除されていたとのことですが、それ以降も営業は再開されておらず、閉店までの期間は返金対応などを行っていたそうです。跡地の次の店舗は未定であり、同百貨店の担当者は「このたびはご迷惑をおかけした。今後は再発防止に努めていきたい」とコメントしています。
大規模な食中毒の事件となってしまった今回の事態。まさしく惨事の現場になったしまった店舗は閉店となったものの、他の5店舗については継続とのことなので、今後はこのようなことが一切ないように、衛生面を徹底していただきたいものです。
食中毒になられてしまった方々にお見舞いを申し上げます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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